救い主の系図
2022.12.04
◎マタイの福音書1:1~17
マタイの福音書の最初はイエス・キリストの系図をもって始まります。「アブラハムの子、ダビデの子」とあります。アブラハムとの契約(創世記12:1-7)、ダビデとの契約(Ⅱサムエル7:16)を神とイスラエルとの契約の代表として挙げ、旧約の時代から新約の時代の400年の神の沈黙を経ても神は決してイスラエルとの約束を忘れていたのではないことを思い起こさせます。この系図は網羅的なものではないですが、十四代ずつおもだった人々の名を記しながら、イスラエルのヒストリーを思い出させるものです。その系図の中で異彩を放つのは五人の女性が含まれていることです。超男社会であった当時のイスラエルにあって、女性の名前が載るということが異常なことでもありました。また、善人ばかりではなく、そしてダビデのような偉人であってもその罪を思い起こさせるような書き方がされています。①タマルという女性はヤコブの四男ユダの嫁でした。ダビデ、そしてイエスさまはこのユダの家系から生まれますが、その系図に名を連ねたのはユダがタマルによって産んだ子の名前でした。タマルはユダの長男と結婚しますが、夫はすぐに死んでしまいます。当時のしきたりでその弟が兄のために、タマルとの間に子をもうけるというものがありましたが、その約束は果たされず、タマルは遊女に変装し義父ユダとの間に子をもうけました。②ラハブはヨシュアの時代の人で、この人も異邦人で遊女でした。しかし、神を恐れ信じていたラハブはエリコ攻略の斥候たちを助け、そのためにエリコ陥落の際にも救われて、ボアズを産むことになります。③ルツもまた異邦人であり、未亡人となった後も義母のナオミのもとを離れずともに歩みました。そしてボアズと結婚し、ダビデの祖父オベデを産みました。④ウリヤの妻(6節)とはバテ・シェバのことでダビデの略奪婚とウリヤ殺害の罪を思い起こさせる書き方です。偉大な王の罪も隠蔽や忖度なしに真正面から取り上げるのが聖書の真実です。そのバテ・シェバによってソロモンが生まれました。⑤マリアはイエスを聖霊によって身ごもりました。A(男)がB(女)によってC (子)を生んだという表現の中、イエスさまは「マリアからお生まれになった」とあるのです。この系図の中には偉人や王もあれば、罪深い者とされていた異邦人も遊女もあり、また身分を低くされていた女性の名もあります。つまりすべての人々の救い主として、罪に穢れたこの世の只中に主はお生まれくださったのです。そしてこの系図の最後には、イエスによって私やあなたの名が神の子として加えられるのです。<清和キリスト教会YOUTUBEオンライン礼拝・小林泰輔牧師>
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